海外FXで利益が発生した場合、居住国に税金を納める必要があります。
海外FXの税金は国内FXよりも高くなりがちですが、控除や必要経費を引くことで税金を最大限抑えることは可能です。
ただし、国内FXとは課税方法も税率も異なるため、税金の計算方法について把握しておく必要があります。
しかし、税金の計算方法や課税対象となる項目は複雑であるため「実際に自分が稼いだ海外FXの収益は課税対象なのか分からない」という方は多いです。
そこでこの記事では、海外FXの税金について、税金の計算方法や節税の方法などを詳しく解説していきます。
「海外FXでいくら稼いだら課税対象になるのかを知りたい」という方や「自分はどのくらい海外FXにおける税金がかかるかを知りたい」という方は、この記事を参考にしてみてください。
この記事でわかること |
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海外FXは税金がかかる?税金がかかるのはいくらから?
海外FX業者の取引で得た利益には、税金がかかります。
個人の所得は所得税法によって10種類に分類されており、FX取引による利益は分類上「雑所得」です。
そのため、一定額を超えると確定申告をして、国内で税金を納める必要があります。
海外FXで所得を得た場合、主に以下の3つの税金を納める必要があります。
- 所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
なお、海外FXに対する税金がいくらからかかるのかは給与所得者と非給与所得者で異なり、金額は以下のように決められています。
海外FX利益が課税対象になる条件 |
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以上の納税条件について、詳しく解説していきます。
給与所得者|年間所得が20万円を超えた場合
給与所得者は、給与以外の所得が年間20万円を超えた場合に、税金を納める義務が生じます。
給与取得者とは、サラリーマンやアルバイトなど、会社から給与をもらっている方のことです。
通常、給与所得者は毎年12月頃に会社が年末調整を行ってくれますが、給与以外の年間所得が20万円以上あった場合は自分で確定申告しなければなりません。
加えて、給与を除いて海外FX以外で収入がある場合は、すべて合算する必要がある点に注意が必要です。
なお、所得とは利益から経費を除いた額で、例えば、利益が25万円で経費が10万円の場合は15万円が所得となり確定申告は不要です。
ただし、20万円以下で確定申告が不要になるのは所得税であり、住民税は別途申告が必要となる場合もあるため注意しましょう。
非給与所得者|年間所得が48万円を超えた場合
非給与所得者は、海外FXによる年間所得が基礎控除額の48万円を超える場合に、税金を納める義務が生じます。
非給与所得者とは、自営業や専業主婦、収入がない学生などのことです。
所得税の基礎控除は、年収2,400万円以下で48万円となっているため、総所得から48万円を差し引いた金額が所得となります。
そのため、FX取引以外に収入がなく、所得が48万円を超えると確定申告が必要です。
さらに、専業主婦や学生は年間所得が103万円を超えると所得税と住民税が発生し、130万円以上になると社会保険の扶養から外れてしまうため注意しましょう。
給与所得があり、年間所得が2,000万円を超えた場合
給与所得があり、年間所得が2,000万円を超えた場合は個人での確定申告が必要です。
給与所得がある方で年間所得が2,000万円を超えた場合、会社で年末調整ができません。
そのため、FX取引による所得の有無に関わらず、納税するためには自分で確定申告する必要があります。
確定申告は毎年決まった期日に行うため、うっかり忘れないように注意しましょう。
海外FXの税金はバレる?脱税がバレない抜け道があるって本当?
海外FXで得た利益は税務署にバレるため、脱税がバレないような抜け道はありません。
税金の支払い義務が税務署にバレてしまう主な理由は、以下の通りです。
税金が税務署にバレる理由 |
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海外FX業者から出金を行う場合、出金口座が海外にあっても最終的には日本にある金融機関に着金します。
日本の金融機関は海外から100万円以上の入出金があった際、税務署に「国外送金等調書」という書類の提出が義務付けられています。
当該調書には、入出金先口座の氏名や住所、金額などの情報が記載されているため、税務署に利益を隠すことはできません。
また、日本は海外の金融庁と租税条約を結んでおり、海外からの出金や送金の情報をお互いに交換していることから、どこにいくらお金が流れているのか、国税庁に筒抜けとなっています。
なお、利益があるのに確定申告しないと脱税行為に当たり、度合いによって未払税金分の支払いや重加算税の支払いといったペナルティがあります。
悪質な脱税とみなされた場合は、最悪逮捕される可能性もあるため、必ず納税はするようにしましょう。
海外FXと国内FXの税金の違い
海外FXと国内FXの税金には、以下のような違いがあります。
海外FXと国内FXの税金の違い
- 課税方法
- 税率
- 損益通算
海外FXの課税方法と国内FXの課税方法の違いを、以下にまとめました。
比較項目 | 海外FX | 国内FX |
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課税方法 | 総合課税 | 申告分離課税 |
税率 | 約15~55% | 一律20.315% |
以上のように、海外FXは最大で利益のおよそ半分を税金として納めなくてはなりません。
海外に拠点のある海外FXでは、日本の金融庁からの厳しい監督がなくリスクが大きい反面、高いレバレッジによって大きな利益が期待できることも事実です。
しかし、税金は国内FXと異なるルールが適用されるため、きちんと理解しておかないと損をしてしまう可能性があります。
以下から、それぞれの項目について詳しく解説していきます。
課税方法:海外FXは総合課税が適用
海外FXの課税方法は「総合課税」、国内FXは「申告分離課税」となっています。
総合課税とは、名前の通り、他の所得との合計金額に対して課税される制度です。
所得は給与所得・事業所得・不動産所得など9種類に区分されており、海外FXはどの区分にも入らない「雑所得」に分類されます。
給与所得者の場合は、他の雑所得と海外FXの所得を合計して税金を算出するため、FX以外の所得も把握しておきましょう。
一方、国内FXの申告分離課税とは、FXのみの所得に対して課税される制度です。
他の副業などの所得とは合算せず、FXの所得単独で税金を算出します。
なお、海外FXも国内FXも雑所得ですが、海外FXは金商法に基づく金融商品取引業に登録がされていないため、国内FXとは異なる課税制度が適用される点に注意しましょう。
税率:海外FXは累進課税制度を採用
FXの利益にかかる税率は、海外FXは所得が上がるほど税率も上がる「累進課税制度」、国内FXは一律20.315%の「分離課税」です。
海外FXでの所得金額と、所得にかかる税率、控除額は以下のようになっています。
所得 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
---|---|---|
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
さらに、上記の所得税に加えて、復興特別所得税が「所得税×2.1%」、住民税が「約10%」かかるため、海外FXでは合計約15~55%の税金がかかります。
一方、国内FXは優遇措置より税率は「分離課税」で、所得額に関わらず一律20.315%(内訳は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。
以上のことから、海外FXは所得額によっては約半分が税金として引かれるため、稼ぎすぎには注意しましょう。
損益通算:海外FXは副業や仮想通貨と損益の合算が可能
海外FXは副業や仮想通貨など、他の所得との損益通算が可能なため、損失が出ている場合は税金を抑えることが可能です。
例えば、「業者Aで+50万円、業者Bで-50万円」の損益だった場合、合算すると0円になり確定申告は不要になります。
一方、国内FXは仮想通貨や副業などとは損益通算ができず、それぞれ税金がかかります。
したがって、国内FXの税率は低くても、他の所得の有無によって海外FXよりも税金が高くなる可能性があるため注意が必要です。
海外FXは雑所得をすべて合算することが可能なため、税率は高いものの他所得で損失があれば節税が可能で、メリット・デメリットがある点を覚えておきましょう。
海外FXの税率|海外FXの税金が高すぎるのはなぜ?
海外FXの税金が高すぎるのは、累進課税制度が採用されているためです。
累進課税制度は所得が上がればその分税率も上がるため、稼げば稼ぐほど税金は高くなります。
累進課税の最高税率は、所得が4,000万円以上で45%となっており、所得税だけでも半分近くの所得を税金として納める必要があります。
さらに、所得税に住民税10%、復興特別所得税2.1%が追加されるため、約15~55%と最大でおよそ半分が税金となってしまうため、海外FXは税金が高すぎると言われています。
以下より、海外FXにかかる税金の税率について詳しく解説します。
所得税
海外FXにかかる所得税の税率は、以下の通りです。
所得 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
---|---|---|
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
海外FXは累進課税制度であり、基本的に稼いだ分だけ所得税も高くなりますが、国内FXの税率は一律20.315%で、FX所得が100万円でも1,000万円でも税率は同じです。
一方、海外FXは100万円稼ぐと税率は5%と低いですが、1,000万円稼ぐと税率は33%に上がります。
なお、海外FXの税金が国内FXの税金を上回るのは、所得が330万円以上になり税率が20%になった場合です。
所得税は税率20%ですが、住民税10%と復興特別所得税2.1%が加算されるため、結果として税率は約30%と国内FXの税率を超えてしまいます。
そのため、FXの税金が高いと感じる場合は所得を330万円未満に抑えると、国内FXと比較した場合に税金を抑えることができる、と覚えておきましょう。
住民税
海外FXの住民税の税率は10%で、国内FXの5%と比較すると、海外FXの方が国内FXよりも支払う住民税が高くなりやすいです。
また、国内FXは3年分の損失額を繰り越すことが可能なため、課税対象となる所得額を少なくすることができます。
一方、海外FXは損失の繰越はできないため、前年に損失があっても確定申告時に合算して所得を少なくすることはできません。
例えば、今年の利益が200万円で前年に損失が100万円あった場合、損失繰越できれば所得を100万円に調整できますが、実際は200万円として確定申告するため、税金は高くなってしまいます。
国内FXはFX取引を3年以上続けるなら税金を抑えられる可能性がありますが、海外FXは税金が高くなる可能性があるため注意しましょう。
復興特別所得税
海外FXの復興特別所得税の税率は所得税の2.1%で、国内FXは0.315%となっており、累進課税制度の海外FXの方が高くなりやすいです。
海外FXの復興特別所得税の税率は、課税所得ではなく所得税にかけられ、例えば、FXの所得が300万円・給与所得が300万円の場合で算出すると以下のようになります。
FXの所得が300万円・給与所得が300万円の場合 |
総所得 = 300万円+300万円 = 600万円
課税所得 = 600万円 – 48万円(基礎控除) =552万円 所得税 = 552万円 × 20%(税率) – 427,500円(所得控除) = 676,500円 |
所得税に税率を掛けるため、海外FXの復興特別所得税の額は以下の通りとなります。
一方、国内FXは申告分離課税となっているため他の所得とは合算せず、300万円 × 0.315% = 9,450円が復興特別所得税となります。
なお、復興特別所得税はずっとかかるわけではなく、2037年までの適用となるため覚えておきましょう。
海外FXの税金の計算方法・シミュレーション
海外FXの所得税は、以下の計算から求められます。
海外FXの所得税の計算方法 |
海外FXの利益 – 海外FXの必要経費 = 雑所得(海外FXの所得)
>雑所得+その他の所得 = 総所得額 >総所得額 – 所得控除の合計額 = 課税所得額 >課税所得額 × 税率(5~45%) – 税額控除 = 所得税額 |
まず、年間取引報告書を見ながら海外FXの所得(雑所得)を算出し、海外FXの「総合課税制度」を利用してその他の所得と合算します。
次に、合算した総所得から、該当する所得控除の合計金額を引いて、課税所得額を算出します。
最後に、課税所得額に当てはまる累進課税の税率をかけ、税額控除を差し引けば、海外FXの所得額を求めることが可能です。
なお、住民税は「課税所得額×10%」、復興特別所得税は「所得税額×2.1%」で計算できます。
海外FXの所得が100万円の場合の税金
年収300万円の独身会社員で、海外FXの所得が100万円の場合の税金額の計算方法は、以下の通りです。
海外FXの所得が100万円の場合 |
100万円+300万円 = 400万円 (=総所得)
400万円 – 48万円(基礎控除) = 352万円 (=課税所得) 352万円 × 20%(税率) – 427,500円(所得控除) = 276,500円 (=所得税額) |
計算すると、所得税は276,500円です。
上記の所得税に住民税の352,000円(課税所得×10%)、復興特別所得税の5,806円(所得税×2.1%)を合算した、634,306円が納税総額になります。
海外FXの所得が300万円の場合の税金
年収300万円の独身会社員で、海外FXの所得が300万円の場合の税金額の計算方法は、以下の通りです。
海外FXの所得が300万円の場合 |
300万円+300万円 = 600万円(=総所得)
600万円 – 48万円(基礎控除) = 552万円(=課税所得) 552万円 × 20%(税率) – 427,500円(所得控除) = 676,500円(=所得税額) |
計算すると、所得税は676,500円です。
ここに住民税の552,000円、復興特別所得税の14,206円を合算した、1,242,706円が納税総額になります。
海外FXの所得が1,000万円の場合の税金
年収300万円の独身会社員で、海外FXの所得が1,000万円の場合の税金額の計算方法は、以下の通りです。
海外FXの所得が1,000万円の場合 |
1,000万円+300万円 = 1,300万円(=総所得)
1,300万円 – 48万円(基礎控除) = 1,252万円(=課税所得) 1,252万円 × 33%(税率) – 1,536,000円(所得控除) = 2,595,600円(=所得税額) |
計算すると、所得税は2,595,600円です。
上記の所得税に住民税の1,252,000円、復興特別所得税の54,507円を合算した、3,902,107円が納税総額になります。
海外FXの所得が2,000万円の場合の税金
年収300万円の独身会社員で、海外FXの所得が2,000万円の場合の税金額の計算方法は、以下の通りです。
海外FXの所得が2,000万円の場合 |
2,000万円+300万円 = 2,300万円(=総所得)
2,300万円 – 48万円(基礎控除) = 2,252万円(=課税所得) 2,252万円 × 40%(税率) – 2,796,000円(所得控除) = 6,212,000円(=所得税額) |
計算すると、所得税は6,212,000円です。
上記の所得税に住民税の2,252,000円、復興特別所得税の130,452円を合算した、8,594,452円が納税総額になります。
海外FXの税金を節税する方法・税金を抑えるコツ
海外FXの税金を節約する方法・税金を抑えるコツとしては、以下の方法があります。
海外FXの税金を節約する方法 |
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それぞれ詳しく解説します。
海外FXに関連する支出・運用コストを経費として計上する
海外FXの税金を抑えるために、海外FXに関連する支出・運用コストを経費として計上しましょう。
給与所得者は20万円以上、非給与所得者は48万円以上、FX取引や副業によって所得があると税金がかかります。
ただし、所得は稼いだ利益ではなく、利益から必要経費を差し引いた金額であるため、FX取引に関連する費用を経費として計上すれば節税につながります。
例えば、取引に使うPCやスマホの購入費、インターネットの通信費、FXに関する書籍代などは経費として申告できるため、購入時の領収書や支払明細は保管しておきましょう。
なお、無関係の出費を経費として申告すると脱税になる可能性があるため、注意が必要です。
所得控除を活用する
海外FXの税金を抑えるために、所得控除を活用しましょう。
所得控除とは、納税者の生活状況にあわせて所得から一定額を差し引く制度です。
利用できる所得控除は、以下の通りです。
利用できる所得控除の種類 |
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所得控除を利用すると、所得から一定額が引かれるため課税対象の所得が少なくなり、節税に繋がります。
ただし、利用可能な所得控除は自分で確認しなければならないため、申告時に忘れないように注意しましょう。
他の副業の損失と合算する
海外FXの税金を抑える方法として、他の副業の損失と合算することも有効です。
FX取引の所得は雑所得に含まれており、同じ雑所得枠の副業で損益があれば合算が可能です。
例えば、サラリーマンでFX取引による所得が30万円あると税金がかかりますが、副業などで15万円の損失があった場合、合算すると利益は15万円となるため税金はかかりません。
雑所得に含まれる副業は、仮想通貨取引やアフィリエイト、転売などがあります。
なお、海外FXも国内FXも同じ雑所得に含まれますが、課税区分が異なるため損益通算できない点に注意しましょう。
含み益を確定しない/含み損を確定する
海外FXの税金を抑えるために、含み益は確定せず含み損を確定しましょう。
海外FXの税金は累進課税で算出されるため、稼いだ分だけ税率が上がり税金も多くなります。
そのため、できるだけ利益を抑えて申告すれば、税金を抑えることが可能です。
含み損を確定することで、その年に確定した利益と相殺が可能となるため、節税が可能になります。
実際には税金の支払いを来年に延ばしているだけですが、節税対策としては効果的なため覚えておきましょう。
法人口座を開設する
海外FXの税金を抑えるために、法人口座を開設しましょう。
個人の海外FX取引にかかる税率は累進課税制度となっており、稼いだ分だけ税金を納める必要があります。
個人の税率は所得4,000万円以上の場合にかかる45%が最大で、所得税に加えて住民税の10%も納めなくてはなりません。
一方、法人税率は年間所得800万円以下で15%、800万円以上は23.2%とされており、法人住民税や法人事業税などを合わせても約30%と、個人の税率に比べて低くなっています。
したがって、海外FXでの所得が800万円以上になりそう場合は、法人口座を利用した方が節税になるためおすすめです。
海外FXの税金を確定申告する際に必要なもの
海外FX業者の確定申告には、以下のものが必要です。
海外FXの確定申告に必要なもの |
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まず、確定申告書には青色申告と白色申告の2種類がありますが、青色申告は対象者が限られており、より詳細な帳簿などが必要なうえ書き方も複雑です。
そのため、一般的な会社員の場合は、白色申告を利用しましょう。
次に、1月1日~12月31日までの正確な損益が分かる年間取引報告書を事業者ごとに取得します。
年間取引報告書は、以下のようにMT4/MT5から取得可能です。
年間取引報告書の取得方法 |
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次に、経費の証明書となる領収書や支払明細などを準備します。
必要経費を差し引くことで、課税所得を減らし節税することが可能です。
控除証明書は、会社で年末調整している場合は不要で、提出する場合には、人それぞれ控除できる項目が異なるため自分で該当する項目を確認しましょう。
なお、マイナンバーカードがない場合は本人確認書類でも可能です。
ただし、本人確認書類の場合は手間と時間がかかるため、マイナンバーカードの方が手続きをスムーズに進められます。
最後に、給与所得がある方の場合は、源泉徴収票の原本が必要です。
確定申告時に源泉徴収票の添付は不要ですが、給与所得の入力時に必要になるため、源泉徴収票の原本はあらかじめ用意しておきましょう。
なお、確定申告で提出するのは確定申告書だけですが、万が一税務署員からの確認があった際の証明用として、経費の領収書や明細書は保管しておきましょう。
海外FXの税金を確定申告して納付する流れ
海外FXの税金を確定申告して納付する流れは、以下の通りです。
海外FXの税金を確定申告して納付する流れ |
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詳しく解説していきます。
1. 確定申告の方法を決める
まず、確定申告の方法を決めます。
確定申告をする際、以下の方法で申告できます。
確定申告の方法 |
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確定申告方法で最も簡単な方法が、オンラインシステムのeTaxで申告する方法です。
eTaxはマイナンバーカードとネット環境があれば自宅で申告ができるため、簡単でおすすめの方法です。
また、所得が複数ある場合は会計ソフトが便利ですが、どちらも数字を入力していくだけで済むため、初めて確定申告する場合でもスムーズな進行が可能です。
次に、ネット環境がない、または手続きに不安がある場合、税務署で教えてもらいながら確定申告することも可能です。
手続きに詳しい職員に質問しながら書類作成ができて安心ですが、確定申告の時期、特に終わり際は非常に混雑し時間がかかるため注意しましょう。
最後に、税理士に依頼する方法は法人や時間がとれない自営業の方におすすめです。
ただし、依頼するには料金が発生し、特に法人は年間少なくない金額がかかるため、毎年安定した利益が出ている場合に利用しましょう。
ただし、確定申告は一度行えば流れが把握できるため、まずは自分で手続きをして流れを覚えましょう。
2. 確定申告書を記載する
次に、確定申告書に記載をしていきます。
基本的には、事前に準備した取引報告書や源泉徴収票などを見ながら数字を入力していくだけで完了します。
確定申告書の記載順序は、以下の通りです。
確定申告書の記載順序 |
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海外FXによる所得の入力で「雑所得」を選択後に表示される「項目」の欄は、「その他」>「証拠金取引」と入力します。
続いて、所得控除の入力が終わると納税額が表示されるため、確認したら念のためメモをとっておきましょう。
次の「住民税・事業税に関する事項」では住民税の徴収方法を選択できるため、勤務先にバレたくない場合は「自分で納付」にチェックを入れます。
最後に、「住所・氏名等の入力」で確定申告をする人の個人情報を入力すれば、確定申告書の作成は完了です。
3. eTax・税務署に確定申告書類を提出する
次に、eTax・税務署に確定申告書類を提出します。
確定申告の入力が完了後、提出方法で「マイナンバーカード方式」または「ID・パスワード方式」を選択した場合はeTax(電子申請)、「印刷」を選択した場合は税務署へ郵送するか窓口へ持参して提出します。
また、会計ソフトを利用して確定申告書を作成した場合も、eTaxで提出ができます。
郵送や窓口に持参する場合は、住所で対応する税務署が異なるため、管轄の税務署へ提出するように注意しましょう。
4. 納付方法を選ぶ/税金を納める
最後に、納付方法を選び、税金を納めます。
納付方法は、以下から選択できます。
納付方法 |
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スマホアプリによる納付は、「国税スマートフォン決済専用サイト」から、スマホアプリ決済を利用して納付する方法です。
なお、スマホアプリ、QRコード決済の場合、納付可能な金額は30万円以下となっているため、納税額によっては利用できません。
また、所得税の支払期限は基本的に確定申告の期限と同じ3月15日までです。
納税書などが郵送されてくることはないため、期限内に忘れずに支払うように注意しましょう。
海外FXの税金に関する注意点
海外FXの税金に関する注意点は、以下の通りです。
海外FXの税金に関する注意点 |
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詳しく解説していきます。
過去の損失を繰越できない
海外FXでは、過去の損失を繰り越すことはできないため注意しましょう。
海外FXで発生した損益は、同年内に発生した他の海外FXの損益と合算することは可能ですが、年内の損失を翌年に繰り越し、翌年以降の所得と合算することはできません。
例えば、同年内に複数の海外FXで損益が発生し、業者Aでは-40万円、業者Bでは+50万円だった場合、合算して所得を10万円にすることができます。
一方、海外FXの損益が1年目で-40万円、2年目が+100万円の場合、税金がかかるのは2年分を合算した60万円ではなく2年目の所得である100万円です。
国内FXでは認められている損失の繰越は、海外FXではルールが異なるため適用できない点に注意しましょう。
国内FXとの損益相殺ができない
海外FXの損益は、国内FXとの損益相殺ができないため注意しましょう。
所得税の計算は所得区分ごとに行われるため、同じ所得区分内であれば損益を相殺することが可能です。
しかし、海外FXの税制は「総合課税」、国内FXの税制は「申告分離課税」となっており、税制が異なります。
「総合課税」はFXや株、副業などの所得金額をすべて合計した総所得で所得税を算出しますが、「申告分離課税」は他の所得金額と合計せず所得税を算出する仕組みです。
以上のことから、海外FXの損益が+50万円、国内FXの損益が-40万円であっても損益は相殺できないため、海外FXの利益である50万で所得税が計算されます。
海外FXと国内FXの両方で取引している場合は、それぞれで税金が発生する点を覚えておきましょう。
ボーナスは課税対象ではない
海外FXで取得できるボーナスは、課税対象ではない点に注意しましょう。
海外FX業者の多くでみられる「口座開設ボーナス」や「入金ボーナス」といったボーナスは、税金を算出する上で所得には含まれません。
ボーナスはそれ自体出金することができない架空の資金であり、利益や現金の扱いにはならないためです。
以上のことから、所得を計算する際にボーナスを含めないように注意する必要があります。
なお、ボーナスと異なり、キャッシュバックは現金と同じように課税対象となる点にも注意しましょう。
海外FXの税金についてよくある質問
海外FXの税金についてよくある質問を紹介します。
海外FXの税金がかかるタイミングは?
海外FXの税金がかかるのは、1月1日~12月31日までの1年間の所得が確定したタイミングです。
ただし、税金がかかるのは保有しているポジションを決済した後の利益であり、含み益が発生していても決済しなければ税金はかかりません。
例えば、米ドルが150円の時にポジションを保有した後、米ドルが170円になると20円の含み益が発生します。
しかし、以上の含み益が発生した段階では利益にはならず、決済してはじめて20円の利益が確定します。
FX取引は自分のタイミングで決済が可能で、決済をしないかぎり課税対象にはならないことを覚えておきましょう。
海外FXで確定申告が不要な場合はある?
海外FXで確定申告が不要となるのは、以下の場合です。
確定申告が不要になるケース |
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海外FXのトータル損益が損失の場合、税金がかかる利益がないため確定申告は必要ありません。
次に、サラリーマンなどの給与所得者は、給与以外の年間所得が20万円以上になると確定申告が必要ですが、20万円未満の場合は課税対象にはならず確定申告も不要です。
同じく、専業主婦や学生などの非給与所得者で、年間所得が48万円未満の場合は控除額以下になるため、確定申告は必要ありません。
ただし、所得税の申告が不要でも、1円でも所得があれば住民税の申告は必要になるため注意しましょう。
会社にバレない海外FXの税金の確定申告方法はある?
住民税を「普通徴収」にすることで、会社にバレずに確定申告が可能です。
給与所得者の場合、住民税の納税は「特別徴収」として給与から天引きされています。
所得によって住民税は変わるため、他の社員と給与があまり変わらないのに住民税の金額が大きすぎると、会社側に他の収入を疑われる可能性が高いです。
そこで、納税方法を普通徴収にすると税金は自分で支払うことになるため、会社側に海外FXの所得がバレる可能性を低くできます。
確定申告の際は住民税を「普通徴収」にして、期日に注意しつつ自分で納付するようにしましょう。
海外FXで二重に税金がかかることはある?
海外FXで、日本と海外で二重に税金がかかることはありません。
海外の口座であっても着金するのは日本の金融機関であり、海外から税金を納めるように言われることもありません。
税金は住んでいる国に納めるルールとなっているため、日本在住であれば日本だけに納税します。
【まとめ】海外FXも日本で税金が発生する!確定申告を忘れないようにしよう
この記事では「海外FXにかかる税金」について解説しました。
海外FXであっても、一定の利益が発生したら確定申告をして日本で納税しなければなりません。
国内FXとは課税方法や税率が異なり税金は高くなりやすいですが、控除を使えば節税することも可能です。
確定申告は毎年2月16日~3月15日の間で、eTaxによる電子申請・郵送・窓口持参で提出ができます。
なお、利益があるのに確定申告しないことは脱税行為に当たり、税務署にも必ずバレるため、確定申告は忘れずに行いましょう。
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